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先月9月25日の中秋の名月は、あいにく曇り空でした。それでも、雲の合間からちらりと現れた月を見ることができました。
みなさんはいかがでしたか?
今月は月をテーマに、前編では「裏側」、後編では「表側」にまつわる話題を取り上げたいと思います。
月の裏側の写真などを見たことはありますか?
地球上から月を眺めている限り、私たちは月の裏側を直接見ることができません。
これは月の自転する周期と、地球の周りを公転する周期が、ともに約27.3日でそろっているためです。
「同期自転」あるいは「潮汐ロック(ちょうせきろっく)」と呼ばれる現象で、月は常に同じ面を地球に向けながら回っています。

アルテミス計画という月探査計画をご存じでしょうか?
その一環として打ち上げられた宇宙船オリオン号は、月を周回して地球へ帰還しました。
月の近くから見たアースライズやアースセット*1の神秘的な画像が、印象に残っている方もいるのではないでしょうか。
月は地球から約40万km離れています。
それほど遠くにある宇宙船との通信が、アポロ宇宙船の時代から実現されていたというのは、あらためて考えると驚くべきことです。
ただし、月の裏側は、地球から「見えない」だけではありません。月そのものに電波がさえぎられるため地球との直接通信も難しくなります。
オリオン号が月の裏側を周回した際には、地球との通信が約40分間途絶えたそうです。
月の裏側と継続的に通信するためには、宇宙空間に設置した中継衛星が必要になります。
中国は、月と地球のラグランジェポイント*2の一つであるL2付近に通信衛星を打ち上げ、この衛星を仲介することで、月の裏側にある探査機との通信を可能にしています。
ラグランジェポイントときいて、某アニメーション作品に登場する宇宙コロニー群を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

月探査が進み、宇宙船や探査機から送られる情報が増えるにつれて、より高速な通信技術も必要になります。
最近の月探査では、レーザー光を利用する宇宙通信の実証実験が進められています。
中国の研究チームが、地球・月の間の双方向で高速レーザー通信実験に成功したというニュースもありました。
このレーザー通信を「宇宙のLANケーブル」と例えている人もいますが、従来のマイクロ波による通信に比べ、レーザー通信は通信速度を大幅に高められる可能性があるそうです。
また、レーザーはビームを細く絞ることができるため傍受されにくく、通信装置を小型・計量化しやすい特長があります。
そのため、搭載できる重量に厳しい制約のある宇宙船や人工衛星にとって大きな利点となります。
オリオン号でも、赤外線レーザーを利用した通信の実証実験が行われていました。
ただし、通信速度がどれほど向上しても、月そのものに通信路をさえぎられる裏側では、地球と直接通信することはできません。
つまり、通信を「速くする技術」と、通信を「途切れさせずに届ける技術」の両方が重要になるということです。
ここで電話線によるデータ通信から光ファイバ、無線へと発展してきた通信技術の歴史を紹介する、当社のブログの記事をご案内します。
■今回のピックアップ・ブログ
電話線によるデータ通信から始まり、光ファイバ、無線へと通信技術は大きく進化してきました。
インターネットの普及とともに伝送速度への要求は高まり、各技術は限界を超える工夫を重ねてきました。
多様な通信技術は競争と協調を繰り返しながら、快適なネットワーク社会を支えています。
地球から月までの距離を新幹線の速度で進むとすれば、約53日かかります。
今はまだ遠い月も、月面都市が造られる未来には、もっと身近な場所になっているかもしれません。
幕末(1860年)の勝海舟らを乗せた咸臨丸が太平洋を横断した際には、天候の影響もあり到着までに約37日要しました。
しかし現在では、飛行機を使えば半日もかかりません。
かつて何十日もかかった場所が、技術の進歩によって身近になったように、現在は遠い月もいつか日常的に訪れる場所になるのでしょうか。
未来では、月の裏側にある月面都市のハンバーガーショップで、秘密の会合を開くこともあるかもしれませんね。
次回は月の「表側」にまつわるコラムをお届けします。
2026年10月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
経営戦略本部 ブランド・コミュニケーション部
阿部 哲也
※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。